
バルトーク 弦楽四重奏曲全集(第1〜第6番) フェルメール四重奏団
個人的にバルトークの弦楽四重奏曲はベートーヴェン以降で屈指の傑作だと思っております。バルトークの作曲家としての歩みの重要なポイントで必ず弦楽四重奏曲を作曲しておりいかにこの分野を重要視していたかよく分かります。今月はそんな6曲の弦楽四重奏曲から第5番を聴いてみます。第3・4番ほど無調よりの曲でなく新古典派ともいえる要素も含んでおり比較的聴きやすいと考えたのも選択の理由の一つであります。
「バルトーク 弦楽四重奏曲第5番」は5楽章構成でアーチ式と呼ばれる構造となっております。民族舞曲を巧く扱っている第3楽章がスケルツォ。それを挟むように第2・4楽章が緩やかな曲調となっておりこの2楽章は密接な関連をもっています。そして第1・5楽章はアレグロのソナタ形式。その厳しく緻密な楽曲はバルトークの一番の特長。主題の扱い方、曲の中で奏でられる民族的な旋律もそのままではなく分解して楽曲に組み込んでおり非常に技巧的であります。
今回聴いたのはフェルメール四重奏団による演奏。この四重奏団昨年に惜しまれつつ解散しております。(2004年録音)
さて演奏ですがなかなか「聴きやすい演奏」といった印象。まず各パート分離が非常に明確でクリアな感じがします。しっかりガリガリ始まる第1楽章の最初の主題、第3楽章に埋め込まれているパロディともいえる旋律など一音一音がはっきりと聴き取れます。
特に印象的なのは奇数楽章で両端の2楽章は各主題の対比が素晴しく個性的なソナタ形式が再現されておりますし、第3楽章は特殊な民族舞曲的な旋律も見事に奏でております。
フェルメール四重奏団の演奏は楽曲を一つとして丸くアーチ状に形成するといったタイプではなく、各楽章を積み上げて一つの楽曲ととらえているようで各楽章にやや鋭さをもって接しております。しかしその鋭さも無調にほどよい距離感が感じられる点、ピッチの正確さに重点を置いていないという点から意外と聴きやすい演奏になっておりなかなかの好演で満足いたしました。

フェルメールSQのバルトークは精緻で透明感があり好きですね。アルバンベルクなどの世間で評判の演奏よりも好んで聴きます。
コメントありがとうございます。
そうですかアルバンベルクQはお好みではございませんか。弦楽四重奏曲でよしあしが語れるのは結構クラシック通の証拠ではないかと。個人的にアルバンベルクQの実演は2回聴いた事がありますがあたりとはずれが1回づつといったところでした。
コメントありがとうございます。
聴きたくなったらどんどん聴いてください。
フェルメールQの演奏素晴しいのですが解散しているため新しい録音が出ないのが非常に残念であります。