ベートーヴェンの交響曲 金聖響&玉木正之
若手指揮者金聖響が偉大な「ベートーヴェンの交響曲」について語ったのが今回手に取った本。(著者名にある玉木正之は実質聴き手に近い感じであくまでメインは金聖響であります。)
自分が考えるこの著書で注目すべき点は3点。
まずは指揮者から見たベートーヴェンの音楽についての語りである点。これまでのベートーヴェン関連の本といえば「ベートーヴェンの人生」、「ベートーヴェンの音楽」のどちらかに焦点をあてたものが定番でありました。前者は読み物としてはおもしろいが音楽論が薄く、後者は読者を置き去りにしているかのような小難しい音楽論になっているものが多かった印象があります。
本書は指揮者という演奏家から見たベートーヴェン像が語られており、意外な事で指揮者が苦労している事などが垣間見えておもしろいです。(曲の出だし、演奏中は指揮者の頭の中で鳴っている音と実際に鳴っている音の2つがある点などなど)
次にマイナーな扱いである交響曲にも有名な交響曲同様のウエイトを置いて語っている点。自分が好きな第2番や第8番についてもしっかり語られているのは大変喜ばしい。もちろん有名な交響曲もしっかりと語られております。特に「田園」については個人的に金聖響に共感する部分が大きく、今後また違った気持で「田園」に接する事が出来そうな気がしました。
さらに「ベートーヴェンの交響曲」の素晴らしさを(楽譜は多少出てきますが)音楽用語を控えめに分かりやすく語る事に心がけている事も評価に値する点。与太話風の軽い話題も盛り込みながら柔らかい語り口調で、金聖響自身が持っているベートーヴェンに対する(熱い)思いを語っておりまして、その思いがひしひしと読者に伝わってきます。とにかく読んでいるとなんとなくベートーヴェンの素晴らしさが分かった気になるのも本書の特徴でしょうか。
読んでみると「ベートーヴェンの交響曲にはずれなし」という事がよくわかります。そして実際の曲が聴きたくなってきまして、ここまでくれば著者である金聖響の目的は達成された事になるのかもしれません。
気軽に読める内容でありますし、読んでみると硬いイメージのある「ベートーヴェン」の音楽が身近に感じられまして興味があれば一度手に取ってみるのも一興かと思います。
(追記)
最後についている玉木正之による「ベートーヴェンの年表」も充実した内容ですので本編読後にはこちらもぜひ読む事をおすすめします。
タグ:金聖響
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私もこの本を読みました。
>指揮者という演奏家から見たベートーヴェン像
本当に仰るとおり、なかなかこういう本がなかったので書店で見つけたときは嬉しかったです。
また読んでみたいと思います。
評論家より演奏者が書いた本がやっぱり面白いですね。
現場をよく知る・・というか実際音楽を再現する立場ですから。
コメントありがとうございます。
なんだかんだいっても現場で活躍している人の話は説得力もありますしおもしろい。
語り手がベートーヴェンを敬愛しているというのも良書になった理由でありましょうか。
金聖響氏による続編も発売されているようでまた読んで見ようと思います。