「英雄の生涯」といえばやはりヨーロッパが本場と言えましょう。しかしアメリカのオケによる演奏もかなりの数存在しております。そんなアメリカのオケによる演奏も聴いてみたいと思います。
<主要な演奏>
フリッツ・ライナー&シカゴ交響楽団(1954)
ズービン・メータ&ロスアンジェルス・フィル(1968)
ユージン・オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団(1974)
小澤征爾&ボストン交響楽団(1980)
ダニエル・バレンボイム&シカゴ交響楽団(1990)
マンフレート・ホーネック&ピッツバーグ交響楽団(2008)
上記演奏から小澤盤と(
まずは世評高いライナー盤から

リヒャルト=シュトラウス 交響詩《英雄の生涯》 ライナー&シカゴ響
この演奏はバルトークと共にライナー&シカゴによる演奏でも非常に評価が高い演奏です。
聴いてみるとライナー&シカゴコンビの特長である厳しく厳格で精度の高いアンサンブルはここにもはっきり聴かれます。その響きに鳴りっぷりはまさに「英雄の生涯<鋼>」といった感じ。
それに加わるは1954年とは思えないほどクリアでドライなステレオ録音。この録音は最新のデジタル録音とひけをとらない素晴らしいものであります。
シュトラウスの(細かい指示の)楽譜を正確に忠実に音として再現した演奏としてはこれ以上のものを求めるのは難しい。そういう意味ではこの盤での英雄は間違いなくライナーですかね。
正直これだけ厳しい演奏をされると聴いていると疲れてくるのも事実。ですので個人的にはより甘美で退廃的な演奏の方が魅力を感じます。がしかしスコア片手に聴いていると新しい発見に満ちており刺激的な部分も多く感服しながら聴いた演奏でもあります。
「英雄の生涯」を語るには外せない名盤。世評どおりの演奏と言えましょうか。

リヒャルト=シュトラウス 交響詩《英雄の生涯》 バレンボイム&シカゴ響
正直オススメ出来ない演奏。
自分的に一番嫌いな「ルーチンワーク」をこなしただけの演奏で意味を見出せない演奏。ライナーと同じオケとは思えないシカゴ交響楽団の平凡な響きがそれを裏付けています。
これだけ聴いていてやるせなくなった演奏は久々であります。
リヒャルト=シュトラウス 交響詩《英雄の生涯》 オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団
さて気を取り直してオーマンディ盤(1974年盤)。さすがオーマンディ、「英雄の生涯」をこれだけネアカに豪快に鳴らした演奏はなかなか聴けません。この華麗でポジティブなフィラデルフィア・サウンドを聴いていると元気が出てきます。抜けのよいストレートな録音も相性がよいです。
超楽天的な演奏でまさにエンターティナー・オーマンディの音楽が堪能出来ます。この明るさとノリのよさはアメリカならでは。でもちょっと日の当たらない部分があってもよいのではと思う自分もいるのですが・・・、でも楽しめました。

リヒャルト=シュトラウス 交響詩《英雄の生涯》 メータ ロサンゼルス・フィル
若きメータの溌剌としたフレッシュな「英雄の生涯」。聴いていて気分爽快。指揮しているメータもさぞかし気持ちよく振ったのではないでしょうか。
この時代のメータ「惑星」など音響効果がモノをいう作品で力量を発揮しておりましたが「英雄の生涯」(カップリングのツァラトゥストラも)でもその威力を見せつけております。
細かい所では多少フォーカスが甘い部分があり緻密ではないアラもあるのですが、この前向きな演奏を聴いていると「まあ細かい事はいいか」なんて思ってしまいます。
現在は(正直)精彩を欠いている印象のメータでありますが、今一度当時の覇気が蘇る事に期待しております。
アメリカのオケで「英雄の生涯」を聴いてきましたが、(一部を除いて)総じて鳴りの良い陽性の演奏が多い。これはお国柄も大きく影響しているのではないかと思います。差し当たり現在のロス・フィルのシェフであるドゥダメルあたりに豪快な「英雄の生涯」を期待したいですね。

