2009年07月19日

プッチーニ 『トゥーランドット』 金沢公演

和を感じるオペラを堪能

opera002.jpg

プッチーニ 『トゥーランドット』 金沢公演


東京国立劇場(読売日本交響楽団)と金沢歌劇座(オーケストラ・アンサンブル金沢)の共同制作によるオペラ「トゥーランドット」を観てきました。

プッチーニ 歌劇「トゥーランドット」(セミステージ形式)

日時:2009年7月18日(土)18:00開演
場所:金沢歌劇座

トゥーランドット姫 マリアナ・ツヴェトコヴァ
皇帝アルトゥム 鈴木寛一
ティムール ジョン・ハオ
名を秘めた王子(カラフ) アレクサンドル・パディア
リュー(若い奴隷) 小林沙羅
ピン(宰相) 萩原潤
パン(内大臣) 与儀巧
ポン(総料理長) 牧川修一
役人 小林大祐
ペルシアの王子 中村順一
プー・ティン・パオ 風李一成

管弦楽 オーケストラ・アンサンブル金沢
合唱 金沢カペラ合唱団、新国立劇場合唱団
児童合唱 OEKエンジェルコーラス

指揮 井上道義
演出 茂山千之丞


今回の公演ポイントですが、演出が狂言師である茂山千之丞氏が担当しており西洋文化のオペラに和の文化をどのように取り入れているか。またセミステージ形式というシンプルなスタイルで豪華絢爛になりがちなトゥーランドットの世界を再現できるかといったあたりでありましょうか。

開演前

オーケストラアンサンブル金沢(OEK)が音合わせをしておりましたが、さすがプッチーニともなると見た事がないメンバーが多い事。編成が大きいという事ですが、(個人的に弱いと思っている)ホルンのメンバーが余りお目にかかったことがない方が多いようで違った意味で期待してしまいました(笑)。


第一幕

全体的に予想通り動きが少なく演出も質素なのですが、ちょっとしたたとえばカラフの動きやリューのしぐさが非常に効果的に丁寧にされておりオペラのストーリーを損なうものではないと思いました。さらにそれを強調するような歌舞伎風とも言える主要メンバーのメイク、これは好悪分かれるものかもしれません。自分は最初カラフを見たときちょっと驚きましたが、次第に慣れまして登場人物に焦点を合わせやすくなるなど悪くないと感じました。

オケのアンサンブルが予想以上の質であった事、アレクサンドル・パディア演じるカラフの歌唱がよかった事もあいまって後半に期待出来る内容で満足でありました。(合唱団がこちらを見る目に凄い集中力も感じましたが)


第二幕

前半と後半でちょっと出来に差があった幕。

前半のピン・ポン・パンによるコミカルな三重奏ではっきりと合っていない部分ありまして、観ているこちらとしては無事収拾出来るのかハラハラ・ドキドキ。さすがはプロの歌い手さん途中からつじつまを巧く合わせておりました。こういう事が起こるのもライブを観る醍醐味でもあるのですがちょっと残念。

後半の謎解きはいつもながらカラフ大丈夫か(もちろん大丈夫なんですが)と思わせる内容、カラフが無事謎を解いてなお拒むトゥーランドットに逆に謎を問いかける潔さとあいまって十分楽しめる演奏に仕上がっておりました。なによりツヴェトコヴァ演じるトゥーランドットの存在感が抜群。


第三幕

カラフが歌う有名な「誰も寝てはならぬ」が有名な第三幕。ただこの幕で大きなターニングポイントになるのは「リューの死」の場面であります。今回の小林沙羅演じる健気なリュー(若い奴隷)よかった。その若くして崇高に愛をつらぬく儚さにいつもと同じように涙してしまいました。 

トゥーランドットとカラフの二重唱からエンディングまでは一気に盛り上がっていきまして、その歌の素晴らしさにオケもよく鳴っておりまして観ているこちらも気分が盛り上がってきて感動のエンディング。(一緒に観ていた嫁も感動しておりました。)

いつもながらオペラは生で観て体感する事に意味があると感じる公演で大変感動いたしました。


公演後日談

昨日オペラ観賞を終えて少し時間をおいて振り返ってみると今回の公演演出について考えさせられる部分が多い公演でありました。

一般的に「トゥーランドット」と言えばMETのゼッフィレッリ演出の豪華絢爛なステージを思い出す人は多いのではないかと思います。今回の茂山千之丞による演出はゼッフィレッリ演出の対極にあるといえます。セットを質素で簡潔、出演者の動きも最低限に抑えられておりましてゼッフィレッリ演出がデコレーションケーキなら茂山千之丞演出はわびさびを彩る和菓子のような感じ。一見不利に見える茂山千之丞演出ですが個人的に決して劣っていないと感じました。

それはオペラの根幹は人間ドラマ、さらに言うならキャラクタの人間性を的確に表現する事が重要であるからではないでしょうか。日本の伝統芸能である「能」などはセットは非常にシンプルで動きが少ないのですが、その一挙手一投足が持つ意味は大きく重要です。

この「静」から数少ない動きで多くを表現するというスタイルが茂山千之丞演出の特色であります。たとえばティムールをかばうリューの手の動き、合唱団の立ったり座ったりするタイミング一つをとってもその妙を感じる事が出来ます。幕がない点や字幕も茂山版であるなど茂山千之丞演出のこだわりいろいろありそうです。

西洋音楽を日本で演奏する際に西洋スタイルに合わせる傾向がありますが、日本流西洋オペラといった様相の今回の公演、新たなる試みの一つとして語られるものであるのかもしれません。




にほんブログ村 クラシックブログへ
posted by やったくん at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/123832577

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。