2010年03月08日

シベリウス 交響詩『エン・サガ』ヴァンスカ

改版の成果が明確に出ています

Siberius_1.jpg

シベリウス・エディション VOL.1より


今年に入ってBISから発売されている『シベリウス・エディション』(13BOX)を少しづつ聴いております。その第1巻「音詩 Tone Poems」からエン・サガを聴いてみましょう。

シベリウスが「クレルヴォ交響曲」で大成功をおさめた後、新婚旅行でカレリア地方を訪れます。その地で受けた感銘が「エン・サガ」に影響を与えた事は間違えないように思われます。北欧的な霧にかかったような独特の抒情に満ちた「エン・サガ」は後年の傑作群と比較しても遜色ない仕上がりとなっており、シベリウスの音楽観の原点ともよべる曲ともいえましょうか。

この「エン・サガ」各モティーフが非常に密接な関係となっているのもシベリウスらしいのですが、分からない聴き手には延々と続く単調な曲と感じられ深い眠りに落ちかねない曲でもあります。

実際、原典版(1892年版)では上記特徴が冗長さを伴って長大な曲となっており、初演は芳しい評価は得られなかったようです。そのため1902年にベルリン・フィルが演奏する際に、シベリウス自身が改訂を行います。百数十小節に及ぶその改訂でモティーフも見直され曲はすっきりとまとまりよい曲へと変貌します。それが今日演奏される現行版となります。

今回聴いたエディションにはヴァンスカ&ラハティ交響楽団コンビによる「原典版」「現行版」のどちらも収録されており、特に「原典版」はかなり珍しい部類に入る録音。

演奏は「北欧的な抒情」とラハティ交響楽団の(いい意味で)ローカル色豊かな透明感ある響きによる「素朴さ」が巧く結びついてシベリウスの世界を堪能させてくれる秀演であります。ヴァンスカが無理に豊満な色彩を引き出そうとしていない点も高く評価したいですね。現代におけるオーソドックスなシベリウスとしておススメ出来る演奏。

「原典版」と「現行版」に関してですが、聴きやすさ分かりやすさという点では圧倒的に「現行版」が優れております。ただ「原典版」を聴くと、シベリウスらしさや曲の濃厚な部分が「現行版」で失われてしまった面もあるようにも感じられます。そういった意味ではコアなシベリウスファンは「原典版」をよしとするのかもしれません。

シベリウスの知らなかった世界を聴く事が出来る『シベリウス・エディション』今後も楽しみであります。


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posted by やったくん at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 「シベリウス エディションから」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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