2010年03月11日

ショパン作品集 ギレリス

鋼鉄のショパン?

gireris_chopin.jpg

ショパン ピアノ・ソナタ3、ポロネーズ ギレリス(p)


先日タワレコで見かけたのがこの演奏。演奏者と作曲者が全く結びつかないコンビ。何せ「鋼鉄のピアニスト」と呼ばれるギレリスがショパンを録音していた事だけでも驚きであります。ただギレリスは昔から苦手なピアニストの一人。今回はちょっと勇気をもって聴いてみる事としました。


<収録曲>

ショパン ピアノ・ソナタ第3番
ショパン ポロネーズ第3番『軍隊』
ショパン ポロネーズ第4番
ショパン ポロネーズ第6番『英雄』

演奏 エミール・ギレリス(P)

1978年録音


演奏は、骨太、堅牢でがっしりとしたいかにもギレリスらしいショパンといった印象。ただ壮年期ではなくやや晩年のギレリスによる演奏なので多少音に丸みもおびているでしょうか。

「ピアノ・ソナタ第3番」、この曲はショパンの数ある作品中で構造が古典的に作りられた作品。ギレリスの得意レパートリーにベートーヴェンのピアノ・ソナタがありますが、このショパンのソナタも同様のアプローチによる演奏をしているように感じられます。

各主題をはっきりと構造を明確に形式を形成していくというアプローチ。ソナタ形式で書かれた「第一楽章」における第一主題、第二主題の弾きわけ、特に(情を排除しているかのように)第二主題を奏する事で、この曲が古典派の息吹を継承している曲であるという事を聴き手に意識させるあたり流石といえましょうか。

珍しいクールな聴き心地ながらやや単調な感じのする「第三楽章」、「最終楽章」は力強さを失わず、しっかりと鳴らしながらバランスを大きく崩さない安定感は通常あまり聴かれないものであります。とにかくピアノ・ソナタをしっかりと聴いたという感触はしっかりと残る演奏。

次の「ポロネーズ集」では「軍隊」「英雄」といった情的ではない曲を選曲しているのが興味深い。演奏は上記「ピアノ・ソナタ」と基本的に変わらない種類のもので、遊びがないといいましょうか、スキがないといいましょうか、演奏の丁寧さも加わってとにかく徹底的に頑固一徹な印象であります。

そんな中「英雄ポロネーズ」の中で多少苛立ちを感じる部分があり、自分にはギレリスが「崩し」を入れたかったのではと思えたのですが実際どうなんでしょうか。


聴いていると「叙情」、「情熱」さらに「崩し」といったショパン演奏で聴かせるための基本的な要素を洗い流しているようにさえ感じられる演奏。個人的に非凡な演奏だと理解しながら、ロシアの風のように冷たく、北極の氷のように硬い聴いていて肩がこって疲れる印象も強かったです。あとショパンをベートーヴェンのように弾いてもあまり魅力的ではないという事がよく分る演奏でもありました。

ギレリス(自身も思っていないでしょうが)は「ショパン弾き」とは呼ばれないでしょう。しかし逆説的に言えばショパンをあまり好きではない方々には、ショパンらしさを排除しながら丁寧に弾かれているギレリスの演奏は魅力的な演奏なのかもしれませんね。



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posted by やったくん at 22:34| Comment(2) | TrackBack(0) | ショパン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
私も普通のショパンは好きでないので、ギレリスなら面白そうだとは思います。ちょっと変わった演奏なら、ドイツ風の重みがあるアラウ(わりとまともに近いとは思いますが)、コミカルに聴こえるのはムストネン(これは変わってます)あたりでしょうか。R・ゼルキンが弾いたエチュードはまるでベートーヴェンでした。

ギレリスなら、シューベルトのピアノ・ソナタも鋼鉄の戦車のごとく...と言った演奏らしいですね。私は聴いたことがありませんが、村上春樹の『意味がなければスイングがない』にそのようなことが書いていました。
Posted by yoshimi at 2010年03月14日 13:05
>yoshimi殿

コメントありがとうございます。

ショパンかなり聴いているという自負はあるのですが、ムストネンとゼルキンは未聴でありますので今度発掘して聴いて見ようかと。

アラウのショパンですが独特の渋みがあり個人的に結構好み。晩年の旧フィリップスでの一連のシリーズもよいのですが、ドイツ的にこだわるのでしたら、若きアラウが1950年代にEMIでモノラル録音した「エチュード集」は外せない演奏だと思います。
Posted by 管理人 at 2010年03月16日 22:35
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