2010年04月05日

シベリウス 春の歌 ヴァンスカ

調性の妙が味わえる作品

Siberius_1.jpg

シベリウス・エディション VOL.1より


BISから発売されている『シベリウス・エディション』(13BOX)の第1巻「音詩 Tone Poems」から春の歌を聴きます。

この曲、北欧の長く深い冬からゆっくりと開放され、春を迎える様子を描いたように感じる温かみのある曲。雪国育ちの自分にとっては非常に親近感を感じる曲でもあります。

最初静かに奏でられる旋律(この旋律がまた胸にぐっとくるのですが)、その旋律がシベリウス特有のうねりを伴って序々にゆるやかに高揚してゆきます。寄せては返す波のように、急にではなくゆるやかに高揚していく様が絶妙。そしてオケの強奏でピークに達し、ゆるやかに曲は終わります。鐘の音と共に待ちわびた春の到来を告げるように。

非常にやすらかな温かい気持ちに包まれるよい曲だと個人的には思うのですが、録音、演奏共に取り上げられる機会少ない曲であります。(一度聴くと間違えなく好きになる人は多いと思うのですが残念ですね。)

さてこの曲、(シベリウスらしく)複数のエディションがあります。


1894年版 ニ長調

現行版 ヘ長調


最初の1894年版はやや陰鬱な感じが色濃く、冗長さが目立つ作品。ある種シベリウスらしいとも言え、北欧の冬のイメージを強く感じる曲調でもあります。

逆に現行版は春の優しさを感じる部分が多く明るい曲調。曲の構成もスリム化されて聴きやすい作品。冬よりも春への希望に重きを置いた曲調。

ただこの2エディション、よく聴いてみると思いの他変更点は多くない。では冬と春と全く違う印象になるのはなぜか言えば、調性の違いにつきます。

1894年版 ニ長調(主音レ
現行版 へ長調(主音ファ

ちょっと分かりにくいですが、カラオケに例えると歌っているキーを<+2>した感じでしょうか。

この違いを巧みに利用したのが「春の歌」の2エディション。調性が違うと曲の印象がガラッと変わる妙を楽しめます。

世間的には無名、けれども自分にとってシベリウスの「春の歌」お気に入りに仲間入りの一曲。よい曲と出会えて満足でありました。

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ラベル:シベリウス
posted by やったくん at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 「シベリウス エディションから」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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