クラシックファンにとってのお祭りである
ラ・フォル・ジュルネのシーズンがやってまいりました。
自分も例年通り行ってきまして、そのいくつかをレポートしようと思います。
まず最初は庄司紗矢香さんが奏でる「ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲」から
<演奏>
ラ・フォル・ジュルネ金沢
2012年5月3日 12:00開演
石川県立音楽堂コンサートホール
「ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲」
庄司紗矢香(ヴァイオリン)
ドミトリー・リス指揮、ウラル・フィルハーモニー管弦楽団
今回のLFJで一番期待していたのがこの演目。
いろいろな方から
「庄司紗矢香さんのショスタコーヴィチは凄い」
という噂を聞いていた事がその理由。
さらに最近満を持して録音された(と思われる)同曲のCDは
大変出来の良い演奏
ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲1&2 庄司紗矢香、リス&ウラル・フィル
今回この録音と同じ指揮者&オケを携えてのLFJ参戦と聞けば
期待が高まらないわけはないです。
さて本題の演奏。
一言で言って素晴らしい出来栄え。
一緒に聞いた(ヴァイオリンには厳しい)妻や現役チェロ弾きである姪っ子が
手放しに褒めていたと言えばその上出来さが伝わるでしょうか。
と一言で片づけてもなんですので少々詳しく
このヴァイオリン協奏曲は弾くだけならそれほど難しい部類には入らない
と以前知り合いのヴァイオリニストに聞いた事があります。
それは快速なヒラリー・ハーンの演奏や、比較的新しいキレのよいバティアシヴィリの演奏などを聞いても、弾ける事だけでなく快速なテンポやキレのよさなどプラスアルファを聞き手が求める曲である事からも分かる気がします。
それでは庄司紗矢香さんの演奏でいうプラスアルファとは何か?
と考えるに
個人的に「曲のひだを体感できる」点ではないかと。
例えば第ニ楽章のスケルツォ。
ショスタコーヴィチ特有の快速なスケルツォで、
スムーズかつスピーディーに奏でるタイプの演奏が多い。
でもこの楽章「DSCH音型」が含まれているなど
少々曲者的な側面があるのも事実。
庄司さんの場合、ちょっとしたタメを作ったりフレーズにも陰影を施したりと
一筋縄ではいかないショスタコーヴィチの世界観を巧く色づけています。
この色づけがよいこの楽章のよいアクセントになっている感じがします。
また第三楽章の長大なカデンツァの表現も秀逸。
バロック的なパッサカリアという事もあってか、
以前庄司さんが録音したバッハの演奏に通じる深化した響きが痛切に奏でられ
快適ではない痛切な響きがストレートに聴き手に伝わってきました。
全曲を通してこの曲を庄司さんが手中に収めている印象があり
そういった事がよい意味での余裕をうみ
でも弾き飛ばしはせずにひとつひとつ丹念に音色を積み重ねて
全体のバランスにも配慮した演奏となっている印象がありました。
結果的に聴衆からみると分かりやすい
そして心にひだとなって伝わってくるものもある演奏となっているともいえましょうか。
しいていえば(健闘していましたが)「リス&ウラル・フィル」の音に
さらなる精度があれば文句なしでしたが...(まあないものねだりですかね)
個人的には庄司紗矢香さんの奏でる音色の深化を体感できたのが一番の喜びでした。
今度聞く機会があったらどんな音色を奏でてくれるかという期待感をいだきながら
次に聞くチャンスを待とうかと思っております。
来年JFJでまた金沢へ来てほしいなぁ。
庄司さんの演奏するこの曲を生で聴かれたとはうらやましい!
CDは本当に素晴らしいものでした。
同じメンバーで東京でも演奏されたようですね。
東京で聴きましたが、オケがついていけなかった感がありました
五千人のホールでコンツェルトは厳しかったかもしれません
ただ彼女の奏でる響きには確信たるものを感じ、楽器が変わってから苦労されていたことなど微塵にも感じさせないものだと思いました…
次回はバルトークを聴く機会があるので楽しみにしています
お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
庄司さん聞くたびに成長を感じることができるアーティストで毎回聞くのが楽しみ。
特にこの曲は彼女の十八番といえる曲目なので満足度は倍増でした。
またよろしくお願いいたします。
はじめまして
コメントありがとうございます。
庄司さん楽器を変えたとは知りませんでした。
オケは最高とは言えないまでも健闘していたとは思います。ただ東京公演はホールのキャパが大きすぎと他に聞かれた方も申しておりましたね。
しかし彼女のバルトークはうらやましい。楽しんできてください。
またよろしくお願いいたします。