ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第9番『クロイツェル』、第7番 諏訪内晶子(vn)アンゲリッシュ(p)
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは「春」や「クロイツェル」が有名ですが他の曲はあまり聞かれない曲が多いように思います。(そんな有名ではない)「ヴァイオリン・ソナタ第7番」が本日聴いた演奏。この曲は4楽章構成といい曲調といいベートーヴェンが作曲したヴァイオリン・ソナタで一番ベートーヴェンらしい曲と個人的には思っており結構よく聴く曲であります。
今回聴いた演奏は久々に録音に復帰した諏訪内晶子のヴァイオリン、ピアノ伴奏はアンゲリッシュ(2008年1月録音)
第1楽章の冒頭からちょっと驚きました。諏訪内晶子の奏でるヴァイオリンの音色の印象が以前とは違う感じがしたからです。以前の諏訪内晶子は一言でいってクール、曲との距離をおきながら「さらっ」と弾くのですがこれが独特の味わいがあって非常に語ってくるものが多い演奏でした。しかし今回の演奏はクール+ホットといった音となっており、以前は聴かれなかった激しさなどの感情が音に反映されておりより人間的な熱さを感じる演奏となっております。
こういった方向性は穏やかな第2楽章や跳ねるような第3楽章よりベートーヴェン的な激しさのある両端の楽章に顕著にあられております。このあたりは結婚・出産を経験することでなにがしか心境に変化があったからでしょうが、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを演奏するにあたっては「巨匠に自分をさらけだして挑戦」というのはプラスに働く面が大きいのではないかと思います。
ピアノのアンゲリッシュは達者なピアノです。このコンビでヴァイオリン・ソナタ全集を録音していくようで、最初に重量級の「第7番&第9番」のコンビをもってくるあたり並々ならぬ思いが込められていそうです。
さてどのような全集になるのでしょうか次の演奏が発売されたらまた聴いてみようと思います。