ストラヴィンスキー 春の祭典[ピアノ版] / ファジル・サイ(p)
どの世界にも「異端児」というのが必ずといっていいほど存在します。
作曲家でいえば今週取り上げる「ストラヴィンスキー」も該当しそうな個性的な作曲家。
今回紹介する「春の祭典」は代表作の一つ。この原始音楽を思わせる強烈な音楽は聴く者にインパクトを与えます。今週は有名な3大バレー曲の管弦楽版は取り上げない予定ですので、ピアノ
演奏するはトルコが誇る作曲家でありピアニストであるファジル・サイの演奏。サイはクラシック音楽界の「異端児」といえる存在。このサイが同じ異端児であるストラヴィンスキーにシンパシーを感じるのは納得できる部分があります。(1999年録音)
さて今回は「春の祭典(ピアノ版)」による演奏ですが、ピアニスト名にファジル・サイの名前しかありません。これはサイ自身による録音を重ねて演奏しているためでしてコダワリの一曲でもあるようです。
さてオケ版は師匠であるリムスキー=コルサコフから伝授された多彩な音に原始音楽の息吹が加わっている曲なのですが、サイの演奏は明らかに音の数が少ないピアノで違和感なく再現しており驚き。むしろスピーディで切れ味がありスリム化しているので聴きやすさという点においては上回っているかもしれません。
弾いている音も楽譜に記載されている音を「多重録音」という技術を巧みに使ってほぼ全部拾っていると思われ「一人オーケストラ演奏」のようで圧倒されます。
ピアノという楽器を使っている以上は音質の幅には限界があるのですが、サイはいろいろな技を使って音を巧みに操っております。金管的な音などはプリペアード・ピアノも使用しているようでまさに現代ピアノの限界に挑戦しているかのよう。このような演奏が是か否かに関してはいろいろな意見はあるでしょうが、完成された演奏を聴くとピアノという楽器の可能性の一つとしてありだとは思いますが。
自分が演奏した録音に重ねて演奏するのは技術的にかなり難しいと思うのですが難なく弾きこなせるサイの技量は流石ですね。各パートをジグソーパズルのように組み立てた録音スタッフの努力も忘れてはなりません。
怪しげな弱音から原始リズムの爆発までどこまでもクリアなサイの奏でるピアノの響きを聴いているとただ唖然とするばかりです。何度聴いても新しい発見がある素晴しい演奏でありました。
最後にYoutubeの演奏をご覧下さい。

