ストラヴィンスキー ピアノ作品集 サンジョルジョ(p)
人間自分のポリシーというのは持っているものです。特に作曲家の作風などはなかなか変更しないのが普通です。ベートーヴェンしかり、マーラーしかり...。
しかし今週取り上げているストラヴィンスキーは作風を年々変えていった珍しい作曲家です。
その作風は普通3期に分けられ、「原始主義」「古典主義」「12音技法」となります。最初の「原始主義」時代は有名な「春の祭典」などを作曲、次の「古典主義」時代には先日紹介した「ヴァイオリン協奏曲」などを作曲と時代々による作風の違いは明確になっています。
その作風の違いが分かるアルバムが今回聴いた演奏である「ストラヴィンスキー ピアノ作品集」、演奏するのはイタリア人ピアニストであるサンジョルジョ。(1991年録音)
<収録曲>(作曲年代順)
・スケルツォ(1902)
・ピアノ・ソナタ嬰へ短調(1903〜04)
・4つの練習曲 Op.7(1908)
・ピアノ・ラグ・ミュージック(1919)
・ピアノ・ソナタ(1924)
・セレナーデ イ調調(1925)
・タンゴ(1940)
・サーカス・ポルカ(1941-1942)
作曲年代順に曲を聴くと作風の変化が明確に分かります。最初期に作曲された「ピアノ・ソナタ嬰へ短調」は(ジャケットの帯に書いてあるとおり)ブラインドで聴いたらストラヴィンスキーが作曲をしたとはまず正解する事が出来ないほど従来のイメージから離れた印象で、ロシア的な曲でチャイコフスキーやラフマニノフに通じるロマンティックな曲。
そのたった5年後に作曲された「4つの練習曲」になるとガラッと変わってストラヴィンスキーらしい独特のリズム感が出てきます。ところが「ピアノ・ソナタ」になるとストラヴィンスキー版バロックと呼べる作品に仕上がっており2つのピアノ・ソナタが同一の作曲家によって作曲されたとは思えないほどの変化を見せております。
それ以後の曲は現代的とでもいいましょうか、ストラヴィンスキー特有の世界観に覆われておりちょっとくずした感じがおもしろい。
全体を通してみると結果的にバラエティに富んだアルバムとなっており「ペトルーシュカ」以外のストラヴィンスキーも充分鑑賞にたえる出来であるように感じました。
サンジョルジョのピアノもパリッとしておりなかなか巧い。各曲の弾き分けも明快でよかったです。
購入する時ちょっと躊躇しましたが、変化に富んだ内容で満足しました。

