2008年12月17日

ブリテン 歌曲集 ボストリッジ&ラトル

作曲家も演奏家も本家でございます。

I.Bostridge_Britten.jpg

ブリテン イルミナシオン、ノクターン、セレナード ボストリッジ(T)ラトル&BPO、バボラーク(hr)


今月歌曲を順次聴いておりますが、理由としては娘がコーラスに入った事、といつも拝見しているピースうさぎさんが書かれたブリテンの記事を読んで「この演奏を聴きたい」と思った事が大きな要因であります。ただ歌曲はどちらかといえば不慣れなジャンルでありまして、まずは日本人の日本語による歌を聴き、次に日本人によるイギリス作曲家の歌を聴いて新しい歌曲で聴くポイントをつかんだ上で、いよいよブリテンにチャレンジとなったわけであります。


演奏は以前から一度聴いてみたいと願っていたイギリス人テノール歌手のイアン・ボストリッジ。今回は管弦楽曲付きの歌曲でありまして伴奏がラトルベルリン・フィルが担当しております。(一部ホルンのソロがありますが当然バボラークが吹いております。)(2005年録音)

<収録曲>

ブリテン/イリュミナシオン(彩画)

ブリテン/テノール・ホルンと弦楽のためのセレナード

ブリテン/ノクターン(夜想曲)



聴いて見た感じとしては「表現力が圧倒的な演奏」で素晴らしい演奏であります。ボストリッジ、ラトルにとってブリテンは母国作曲家であり先輩への敬意をはらっている姿が目に浮かぶよう。

最初のランボーの詩に曲をつけた「イリュミナシオン」からボストリッジの声の素晴しさが堪能出来ます。9曲からなるこの曲集ですが、最初のファンファーレにおける輝かしい第一声から始まります。賑やかしい「都市」、幻想的で妖しげな「古代彫像」、厳格な「王位」、きらびやかな「海の絵」、独特な美しさが際立つ「美しい存在」、ランボーらしい一筋縄ではいかない卑しさを聴ける「客寄せ道化」、最後に「出発」で静かに終わります。聴いているとボストリッジの歌唱が曲ごとにがらっと変化していく様が舌をまく巧さ。基本がハイトーンの美声なのですが「客寄せ道化」などで聴かれる卑しさの表出など表現力が抜群であります。これに合わせるラトルの指揮も反応のよさが抜群、それにファンファーレ、間奏曲などの響きもやや素朴さがあるブリテンの世界を見事に描いております。(まさに一つの物語といった趣であります。)

次の「セレナード」でもボストリッジ、ラトルも巧いのですが、往年の名手デニス・ブレインのためにかかれたホルン・パートを担当するバボラークの演奏の質、存在感は抜群であり他がかすんでしまっています。

最後の「ノクターン」は夢というキーワードでイギリスの詩に曲をつけた歌曲集。テノール&弦楽に各曲に各ソロ楽器を加えた構成となっておりなかなかおもしろい響きが楽しめます。ソロ楽器はファゴット、ティンパニー、ハープなど。個人的にはワーズワースの詩にティンパニーのソロを加えた「そして、あの晩」のティンパニーの強打とボストリッジの粗野とも言える抜群の表現力が印象的、楽器では珍しいファゴットのソロが斬新、そして詩的には最後に入っているシェイクスピアの「まばたきすれば、よく見える」がやはりいいです。

ボストリッジの歌唱ですが、テキストの深い読みを感じる知的な解釈とそれを各曲の表現に反映する能力は抜群で噂以上の実力を持った歌手である事がよく分かりました。(同じインテリ系でもディースカウのように上手さが嫌味に聴こえない所もよいです。)それを支えるラトルとベルリン・フィルによる伴奏が絶妙、さらにバボラークに代表されるソロプレーヤーの好演と来れば何も文句はありません。(EMIにしては録音が悪くないのもうれしい限りであります。)

これは予想を上回る素晴しい演奏でありました。声楽の作曲が得意なブリテンの真価を聴け大変満足であります。

最後に国内盤のライナーノーツが非常に充実しております。解説も読み応え充分でありますが、特にボストリッジへのインタビューには演奏した理由、解釈などが書かれており一読をおすすめいたします。



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posted by やったくん at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 声楽 オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご紹介ありがとうございます。
私のディスクは輸入盤なので詳しい歌詞内容が分らないので、もうひとつ突っ込み足らない聴き方になっていますが、いずれ作曲者自演の国内版を買って歌詞をよく読んでみようと思います。

ボストリッジの解釈は興味あります〜。
Posted by ピースうさぎ at 2008年12月20日 09:52
>ピースうさぎ殿

コメントありがとうございます。

自分は声楽に関しては著しく知識が不足しており、語学も達者でないため高価でも国内盤を購入しております。(やっぱり対訳がないと苦しいですよ)

ただライナーノーツのあたりはずれが大きいのは今も昔も同じでありまして今回のブリテンはあたりでありました。(読んでいてボストリッジの博学ぶりにはビックリ)

またピースうさぎ殿のブログも読ませていただきます。
Posted by 管理人 at 2008年12月21日 21:59
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