リスト 超絶技巧練習曲集 シフラ(p)
往年の名ピアニストのシフラが演奏した「リスト 超絶技巧練習曲集」が今回聴いた演奏。シフラといえばやはり「リスト弾き」というイメージがあるため期待大であります。
(1957年録音・EMIから発売されている40枚組BOXより)
聴いて見た感じとしては「弾きなぐったリスト」という印象。期待して聴く演奏が素晴らしいというのは意外と少ないのですが、このシフラのリストは予想を上回る快演でありました。
攻撃的ともいえる激しいタッチにインスピレーションあふれる解釈でリストの世界を壮絶に奏でていきます。一気果敢に技巧を前面に演奏しているのにメカニカルな印象が少ないのも特長で、これは即興演奏を得意としていたシフラの演奏が教科書的な楽譜通りの演奏と対極に位置している事に関連しているのかもしれません。という意味では現代には最も登場しにくいタイプのピアニストであるともいえそうです。(20世紀前半はこのタイプのピアニストが多かったらしくいつも羨ましく思っておりますが)
全曲では「マゼッパ」などのように激しい曲調で技巧がはっきりと聴き取れる曲の方がシフラの凄さを感じる事が出来るのは当然といえましょうか。しかし自分にはその合間にある静かな曲調の曲(風景、回想、夕べの調べなど)の方がシフラの鋭い感性がダイレクトに伝わってくるように感じられ印象的であります。
その中で特に印象的だったのは最終曲の「雪あらし」。この曲でシフラが奏でているのは雪国の「雪嵐(あちら風に言えばブリザードか)」、雪が舞うという表現ではなく雪が吹き付けるというイメージがぴったりとくる演奏。まさに(我が北陸などのように)雪国の冬景色とクロスします。これはソ連で収監されたりした暗い過去を持つシフラの実体験に基づく解釈であるような気がします。
「リスト弾き」と呼ばれる人のリストはやっぱり凄い。シフラが次から次から繰り出すパンチに完全にノックアウトされた次第であります。
今月週一回ずつリストを聴いてきましたが、自分にとってリストは余り向いていないですねえ(嫌いというのとは違うのですが)。このようにピアノという楽器を鳴らす事に重きを置いた曲を聴き続けると結構精神的な負担を感じる、というか段々追い込まれていく圧迫感があり疲れてくるようであります。(嫁を含めて)ピアノの「ピーキー音」が嫌いな人がおりますがその方々の気持ちが多少なりとも分かったような気がします。

