グルダ・ノン・ストップ
日本的な雅を感じる京都の風情であるとすれば、粋を感じるのは江戸っ子でしょうか。今は亡き名ピアニストであるフリードリッヒ・グルダはウィーン生まれの生粋の「ウィーンっ子」と呼べるかもしれません。
クラシックを弾いたかと思えばジャズに走ったりと自由奔放のグルダの人生は痛快とも言えます。そんなグルダの演奏で自分が好きなのは何と言っても「ライヴ演奏」、即興に満ちたスリリングな音楽はグルダの真骨頂であります。中でも1990年にミュンヘンで行われたライブ録音である「グルダ・ノン・ストップ」はグルダの音楽に触れるには絶好の演奏であります。
さて今回はこの中から「グルダ フォー・リコ」を聴いています。この曲グルダの三男リコのために作曲したグルダの自作曲であります。
この曲見上げたら青い空が広がっているような伸びやかな旋律で始まりますが、この旋律を最初聴いた瞬間にお気に入りになりました。自分の感性にピタッとはまったといいましょうか。当時3分にも満たない小品なのですがこれだけで元をとった気分になったものです。
中間部の即興的でジャズ色も感じる演奏のノリのよさもグルダならではの閃きに満ちたピアノ。そして終幕は清清しい響きの中で華麗にフィニッシュ。その奏後の大拍手も納得の出来。
この演奏を聴くとグルダならではと言えるのですが、曲といい弾き方といいなんとも粋がよい。そして香りたつセンスのよさも感じます。これはグルダが生粋の「ウィーンっ子」である事の証であるような気がいたします。
それを実感したのが「フォー・リコ」の楽譜を手に入れて弾いた時、これが(笑ってしまうぐらい)弾いていても全然楽しくないのです。お洒落な中間部が(本当に)即興演奏だった事もあるのですが、自分の下手なテクニックを差し引いても駄目。ピアノにおけるセンスの大事さを痛感いたしました。
この「フォー・リコ」いつ聴いても晴れ晴れとした気持ちになる演奏。今でも時々取り出して聴いております。
ちなみに「グルダ・ノン・ストップ」ですが収録曲は以下の通り
グルダ フォー・リコ
グルダ メヌエット〜チェロ協奏曲より
モーツァルト 幻想曲ニ短調K.397
グルダ アリア(ソロ・ヴァージョン)
グルダ プレリュードとフーガ
ドビュッシー ビーニョの門〜前奏曲集第2巻 第3曲
ドビュッシー 亜麻色の髪の乙女〜前奏曲集第1巻 第8曲
ショパン 練習曲 嬰ハ短調 作品25-7
ショパン 舟歌 嬰ヘ長調 作品60
ショパン 夜想曲 嬰ヘ長調 作品15-2
シューベルト 即興曲 変ト長調 D.899 作品90-3
ヨハン・シュトラウスU世 お客を呼ぶのは私の趣味で〜喜歌劇『こうもり』より
ヨハン・シュトラウスU世 親しい仲間よ〜喜歌劇『こうもり』より
民謡(グルダ編) 辻馬車の歌
各曲の素晴しさは実際聴いていただければ分かっていただけると思います。特に自作のアリアやこうもりからの曲などは抜群であります。
ラベル:グルダ

