ヴェルディ レクィエム ジュリーニ&ベルリン・フィル
今は亡きイタリアの巨匠ジュリーニが晩年にベルリン・フィルとのコンビの「ヴェルディ レクィエム」が今回聴いた演奏。(1989年録音)
聴いてみた印象としては「この曲の宗教的な側面が感じられるゆとりの演奏」といった感じ。まさにジュリーニにしか出来ない演奏であります。
指揮者にとって特別な意味を持って望む作曲家という存在があると思いますが、ジュリーニにとってヴェルディがそれにあたるような気がします。若き日のカラスとの「椿姫」、晩年の映像付き「ファルスタッフ」の演奏にいたるまで素晴しい演奏が多いです。でもジュリーニにとって若き日のフィルハーモニアとの演奏から繰り返し録音してきた「レクイエム」は特別な曲であったようです。
さて演奏は(ジュリーニらしく)ゆったりとしたテンポが基本、その隅々まで丁寧な解釈をベルリン・フィルの透明感のあるアンサンブルがときほぐしており安心して身をゆだねられるもの。
「怒りの日」ですら強奏ではあるものの折り目正しさや気品というものが感じられまして、このあたりジュリーニらしい大人の響きと言えましょうか。
「涙の日」からクライマックスまでの響きの深さ、静かな感動がじわじわと心に伝わってきて非常に温かい。これはジュリーニの懐深いフレージングが生きている証拠。
合唱団との掛け合いも非常に丁寧に処理されておりまして、勢いで大体で終わらせる曖昧さがないのは好ましい。ただ全員アメリカ人による独唱陣は(悪くはないのですが)やや小粒な感じで印象的というほどではないのが少し残念。
劇場的な演出効果が求められる「ヴェルディ レクイエム」で久々に宗教曲という側面を感じる事が出来る演奏で大変満足いたしました。

